よくあるご質問
家族信託について
判断能力の有無は誰が決めるのですか?
その人に判断能力があるかないかを決める明確な基準はありません。明確な基準がないからこそ財産管理に支障をきたすとも言えます。そもそも判断能力という言葉自体が曖昧な概念です。例えば同じ人がスーパーで豆腐と買うときに必要なる判断能力と家を1棟買うときに必要となる判断能力は当然違います。つまり本人が何らかの法的な行為や契約をする際にその相手方や関係者の個々の総合的な判断によらざるを得ないのが現状です。銀行預金を解約するときは窓口の人不動産を売買するときは仲介業や司法書士の判断が重要になります。よく医師の診断書があれば大丈夫という方もおられますが絶対的なものではなくあくまで判断材料の一つにすぎません。こういった状況では健全な財産の管理や処分ができないからこそ家族信託を使い、心身の面で問題のない家族に財産を託すことが重要になるのです。
全ての財産を信託することはできますか?
全ての財産を管理することはできません。あくまで家族信託の契約に含まれた財産のみです。例えばお父様の財産が・A不動産・B不動産・甲銀行の預貯金(1000万円)・乙銀行の預貯金(1000万円)あるとします。このうち「A不動産と現金1000万円(甲銀行の預貯金分)」を長男に信託するというという契約をしたとします。契約後この契約に基づきA不動産は長男名義になり、甲銀行の口座にある1000万円を信託口口座に入金することで長男が管理することができます。一方で長男はB不動産と乙銀行の預貯金(1000万円)は管理することができません。つまりB不動産と乙銀行の預貯金(1000万円)は何ら認知症対策や相続対策がされていない財産ということになります。成年後見制度のように財産の全てを管理できないという点に注意が必要です
家族信託に節税効果はありますか?
家族信託そのものに節税効果はありません。認知症や財産承継の対策として家族信託を利用した結果、節税もできるという副産物的な効果があるのみです。家族の財産を巡る様々な対策はありますが、節税を最優先に考える場合は家族信託は適切でないとも言えます。それは家族信託があくまで家族の意思で家族の財産を守り、引き継ぐことに重きを置いた制度だからです。たとえば相続税対策として借り入れを起こし収益物件を建てた方が、その物件を長男に信託し、その借入金を長男が引き継いだとします。その後父親が亡くなった場合にその借入金が相続税を算定する上でのマイナス財産(債務控除といいます)とみなされるという100%の保証は現時点ではありません。節税が何よりも最優先という方には家族信託はお勧めできませんし、専門家としても責任が取れません。節税はもしかしたらできないかもしれませんが、「親が認知症になった場合に家族で財産を守りたい」「家族間で揉めないよう親の想いをしっかりカタチにしたい」という方に家族信託は利用していただきたいですね。
法人でも受託者になれますか?
信託の受託者(財産を預かる者)は家族などの個人でも、法人でもなることができます。現在家族信託のスキームの事例としてよく挙げられているのは高齢の父親の財産を関するために、奥様や子どもを構成員とする一般社団法人を設立しその法人が受託者(財産を預かる者)となるものです。法人が受託者になるメリットとして①法人格があるので構成員の内誰かに不測の事態が起こっても家族信託の事務を継続できる②構成が複数人いるので個人の専横を防ぎ、監督機能が働きやすいなど信託運営の安定性が高いことが挙げられますその一方でデメリットとして①法人設立費用が別途かかる②法人市民税が年7万円発生する③構成員たる家族観で意見の相違があった場合に信託事務に関する意思決定ができなくなるといったものが挙げられます。受託者を個人にするか、法人にするかは非常に重要な要素になりますので必ず専門家の意見を聞きながら多角的な視点で決めましょう。
金融機関で見かける「遺言信託」と「家族信託」はどう違うのですか?
金融機関でよく見かける金融商品としての「遺言信託」は実は法律上の「信託」ではありません。家族信託などの法律上の信託は主に元々財産を持っている人(委託者)と財産を預かる人(受託者)が「信託契約」をすることにより始まります。これに対し遺言信託には家族信託のような「信託契約」というものが存在せず、財産を現に持っている人が自分亡きあとの財産の行く先を遺言で定め、その遺言執行者に銀行などの金融機関を指定する。そしてその遺言を金融機関が預かり、ご本人亡きあとはその遺言執行者として手続きを銀行が行うという性質のものです。言わば遺言信託とは「遺言執行」と「遺言預かり」というサービスの総称であり、法律上の信託とは全く別ものなのです。
「相続」について
30年前に亡くなった祖父名義の土地は相続登記義務化の対象となりますか?
義務化の対象となります。
相続登記の申請義務は法律施行日である2024年4月1日以降に発生した相続のみが対象ではありません。つまり、施行日よりも前に発生した相続についても相続登記申請義務化の対象となります。
この場合の申請期限は 2024年4月1日 から3年以内ということになります。
相続登記が義務化されると聞きましたが・・・・
2024年4月に法律が改正され、これまで任意だった相続登記が事実上義務化されます。
相続登記の申請義務化の内容
法律施行日 2024年4月1日
登記申請期限 相続及び自分が相続人であることを知った時から3年
制裁 10万円以下の過料
※「正当な理由がないにもかかわらず」期限内の
登記申請を怠った場合
簡単に言うと「2024年4月1日から3年以内に相続登記しないと10万の過料がくる可能性がある」ということです。 これまでは自分の親が亡くなっても、亡くなった親名義のままでも過料など課されることはなかったのですが、法改正より事実上相続登記が義務化されることになったのです。
今回の相続登記義務化の最大の目的は国土の22%(九州地方とtほぼ同じ面積)にも及ぶ所有者不明土地の発生抑制と解消です。所有者不明土地とは不動産登記簿から所有者が直ちに判明しない土地や所有者が判明してもその所在が不明で連絡つかない土地の事です。
その原因のほとんどは、登記簿上の所有者が死亡しても相続登記を申請せず名義を放置した結果、更なる相続が発生し相続関係が複雑化し相続登記が困難になったケースや、登記簿上の所有者が住所が変わっても住所変更しないまま放置しているケースです。このような事態を打開するために法改正が行われました。
つまり相続登記の義務化は一大国家プロジェクトなのです。
相続登記の費用はどのくらいかかりますか?
相続登記に必要な費用は【司法書士報酬】と【実費】の合計額になります。
【司法書士報酬】について
当法人では、相続人の人数と相続登記の対象となる不動産の数によって、司法書士報酬を算出させて頂いております。
【実費】について
実費として次の費用が必要です。
(1)登録免許税
登記申請の際に納める税金です。不動産の固定遺産評価額の0.4%が税額となります。
(2)戸籍取得費
戸籍取得の際に市役所に支払う証明書代です。
(3)登記情報・登記事項証明書取得費
登記記録の事前調査費用、手続き完了後の証明書取得費です。詳しくは、下記のページの「費用について」に記載していますので、ご覧ください。
相続放棄するとどのような効果があるのですか?
相続放棄をすると初めから相続人でなかったということになります。
つまり、相続放棄をすると権利も義務も被相続人から承継することはありません。
相続放棄は一定期間内に家庭裁判所に申し出ることによって初めてその効果が生じるものです。ご自身が放棄をする意思を持っているだけでは効果は生じませんのでご注意ください。
相続人のうち音信不通の者がいますが相続登記はできますか?
可能ですが、場合分けして考えなければなりません。
法定相続分どおり登記をするのであれば問題なく登記できます。
しかし、遺産分割協議をして単有名義の相続登記をしたいというのであれば話は別です。戸籍を調査してみて、音信不通であった方と連絡がとれ遺産分割協議が成立すれば単有名義で登記できます。
戸籍を調査しても居所が不明であれば、音信不通の方について家庭裁判所に不在者財産管理人の選任をしてもらいその管理人と遺産分割協議をする必要がでてきます。
「遺言」について
遺言は何歳から認められますか?
15歳に達せば、親の同意がなくても遺言することができます(民961条)。
14歳以下の者は親の同意があっても遺言することはできません。
遺言はどのように作るんですか?
遺言は法律上、作成方法が非常に厳格に決められています。これは、遺言が作成者のいない時(つまり死亡後)に効力を生じるからです。そのため、遺言状は法律に従い厳格に作成する必要があります。
次のような遺言の方式が民法で定めれています。
◎自筆証書遺言
遺言者が自分で遺言書の全文、日付、氏名を自書し、押印する遺言
◎公正証書遺言
2人以上の証人が立会い、公証人が作成する遺言
◎秘密証書遺言
遺言者又は第3者が書いた遺言状を公証人と2人以上の証人の前で封する遺言他に緊急時に特別に認められる方式のものもあります。
もし作るのであれば、「公正証書遺言」をおすすめいたします。
遺言を作りたいのページもご覧ください。▶
「成年後見制度」について
司法書士など専門家に後見人を依頼した時の報酬はいくらですか?
司法書士など専門家が後見人になった場合、費用はどれくらいかかるのか?
成年後見制度を利用されるご親族の重要な関心ごとであると思います。
月額2万円というのが一つの目安ではないかと思います。
目安という表現の仕方には理由があります。
成年後見人、保佐人、補助人(以下、「後見人等」)の報酬は家庭裁判所が決めるからです。
そして、家庭裁判所が決定した報酬額を、ご本人(成年被後見人)の財産の中から頂くことになります。
家庭裁判所が決定するため、報酬はいくらですと言い切ることができないのですが、月額2万円を一つの目安として考えてよいと思います。
ただ、ご本人の保有金融資産が多ければ、月額報酬も増加します。月額3万円や4万円というケースもあります。
ご参考になれば幸いです。
親族でも後見人になれますか?
親族でも成年後見人になれます。
例えば、認知症の父の財産管理が難しくなってきたので成年後見制度を利用する場合、長男が成年後見人になることは可能です。
但し、父にとって誰が成年後見人に適しているかを最終的に判断するのは家庭裁判所です。
ですので、長男を後見人に選任してもらいたいとの希望があっても必ず長男が選任されるとは限りません。
家族の希望通りにならない場合としては次のようなケースが考えられます。
◎長男が父の後見人になることに他の親族が反対している場合。
◎父の財産が多くその管理が容易でなく 法律等専門知識が必要な場合。
◎長男に借金等があり父の財産管理をするにふさわしくないと判断された場合。
当法人では、成年後見の申立書作成を承っております。
成年後見の申立をご検討の方はぜひご相談ください。